修学旅行のホテル

中学校卒業と同時に父親の転勤で大阪に引っ越したSと泣く泣く別れて1年半が過ぎ、

お互いに連絡しあうこともなくなって、漸く俺も次の恋を見つけようという気になっていたときだった。

修学旅行先の長野県某市のホテルでSと驚きの再会を果たしてしまった。

彼女の高校も修学旅行で同じホテルに宿泊していたのだ。

連絡をとらなくなって半年以上経っていたから、まさかこういう偶然があるとは知らずに、
お互いに「アッ!」と声を上げて立ち止まってしまった。

中学校を卒業して1年半しか経っていないのに、彼女は大人っぽく美しい女性になっていた。
俺はちょっと気後れした。

だが彼女がとった行動は信じられないものだった。

「〇〇!」と俺の名前を叫ぶと、周囲に双方の高校の生徒や先生がいるにも拘わらず、俺に抱きついてきたのだ。

一瞬、周囲が静まり返り、その後に「ウォーッ!」と歓声が上がった。

俺はどうしていいかわからなかったが、彼女を抱きとめ、その勢いでキスしようとした。

全然躊躇はなかった。だが流石に彼女もマズイと気づいたのか、

「バカ!」と俺の頬を張り、また周囲がどよめいた。

張った後に俺に蹴りを入れ、「寂しかったんだぞ!」と言うや、また抱きついてきて、三度目の歓声が上がった。

お陰で俺は旅行の間中、彼女の話ばかり聞かれ、同じ答えを繰り返すはめになった。

その後、彼女とは遠距離恋愛継続となり、同じ大学に進んで、めでたい結果となった。

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